「サンクコスト」(sunk cost)とは

「サンクコスト」とは、これまで会社や事業に、多くの資金、時間、労力を費やしてきたのにもかかわらず、回収できる見込みがないコストのことをいいます。過去に投資した分を回収したいという思いから、撤退の判断に大きな影響を与えます。

意思決定を拒んでしまう理由

  • もったいない
  • 投資した分を取り戻したい
  • 好転するかもしれない
  • 負けを認めたくない
  • 可能性はゼロではないはず
  • みんなの頑張りを無駄にしたくないetc

このように、「今までお金も時間もつぎ込んできたのだからここでやめてしまうのはもったいない」「いつか状況が好転するかもしれない」「可能性はゼロではないはず・・」と考えてしまうことで、サンクコストの回収に時間と労力を使い続けてしまうことが多くなります。

「サンクコスト」による悪影響

サンクコストは、経営判断の意思決定に影響を与えることがあります。上記のような理由で事業を継続し、これまで投資した分を取り戻そうとすると、合理的な判断ができずに、さらなる損失が生まれてしまう可能性があります。これ以上続けていても好転しないだとうと思ったら、別の選択肢も含めて冷静に判断することが必要です。「本当に自分がやりたいことは何なのか」「この事業を継続することを本当に望んでいるのか」など、客観的な視点で自分を見つめることが大切です。意思決定の遅れはビジネスにも大きな影響を与えるため、タイミングを逃したことで後発の競合に大きくシェアを奪われてしまうようなこともあります。これまで費やしたお金や労力を考えると、撤退のタイミングを遅らせてしまいがちですが、たとえ損切りという結果になったとしても、冷静な判断をすることで事業の成長に繋がっていきます。

「コンコルド効果」
「サンクコスト」と似たようなものに「コンコルド効果」というものがあります。これは、すでに投資や努力を積み重ねてきたことにこだわり、金銭的、精神的、時間的な投資を続けることが大きな損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資がやめられない状態を指します。超音速旅客機「コンコルド」の商業的失敗を由来とするものです。

ウィキペディア(Wikipedia)より

日常生活の中の「サンクコスト」

日常生活でも「サンクコスト」効果に陥ることがあります。もう着ないとわかっているのに「もったいないから」という理由で捨てられない洋服、使わないとわかっているのに「いつか使うかも」と思ってとっている部品や家具など、本当は手放した方がいいとわかっているのに手放せないような例です。これらは家のスペースを無駄にするだけでなく、それらを持つことによってかかる労力の方が大きくなります。また、イベントの当日、チケットは購入済みにもかかわらず体調が優れない場合、いったいどのような選択をするでしょうか。チケットの払い戻しができないため無理をしてでも会場に行くか、またはチケット代金は諦めて家で休むか、「もったいない」という気持ちを持つかどうかで判断が変わっていきます。

「サンクコスト」は過去のもの

事業が大規模であればあるほど、サンクコストに縛られそのまま費用をつぎ込みつづけることで、巨額の損失を生む恐れがあります。サンクコストは「過去」にかけた費用です。しかし人は、そのことにこだわり続け、それをどうにか回収しようと、本来すべき行動とは違う行動を撮り続けてしまいます。健全な経営には、目先のサンクコストに惑わされず、次に進むための合理的かつ前向きな経営判断が求められます。