「あなたは今幸せですか?」
そう聞かれたとき、心から「今とても幸せです」と答えられる人はどのくらいいるでしょうか。
幸福度が最も低くなるのは48.3歳
人生の幸福度と年齢の関係を見ていくと、年齢によって感じる幸福度に大きな差があります。アメリカのダートマス大学のブランチフラワー教授が行った分析によれば、世界132か国において、幸福度は50歳前後(48.3歳)で底を迎え、全体で見るとU字カーブを描いていくことがわかっています。
引用:イギリス経済誌「The Economist」で紹介された「The U-bend of life」
幸福度と年齢の関係は世界中の人々が直面する悩みの1つですが、このように50歳前後で幸福度が最低になるのには理由があると言われています。その理由はこちら↓ ↓ ↓
<幸福度が下がる理由とは?>
- 理想と現実のギャップが顕在化する
- 子どもの教育費など金銭的負担がアップする
- 仕事のストレスと負担が増える
- 更年期などで体調がよくない
- 介護の負担など
若いうちは大きな夢や目標を持って未来への期待が高い状態にありますが、年齢を重ねていくうちに自分の限界やキャリアのゴールが見えてくるようになり、幸福度が下がる原因にもなっています。しかしこの幸福度は、この後はU字を描きながら上昇し、80代になると最も幸福を感じるようになっていくのです。
エイジング・パラドックス
「エイジングのパラドックス」とは、高齢期に様々な精神機能や身体機能が低下するなどのネガティブな状態を経験するにもかかわらず,幸福感は低下しにくいという現象のことで、これは先進国や発展途上国といった社会状況や人種とは全く関係なく共通することがわかっています。日本の場合、もっとも幸せな年齢は82歳以上というデータがあります。実際に80代や90代でイキイキと過ごしている方々を見る機会も多く、その時期になると死生観の変化も起きてきて幸福度に影響を与えていることがわかります。また、年齢を重ねることで幸福度を維持するための心理的変化を生じる機能として「老年的超越」という概念があります。
老年的超越とは
老年的超越とは、スウェーデンの社会学者であるラルス・トレンスタム教授が1989年に提唱した概念で、85歳以上の高齢者に起こる心理状態を指します。この時期には、物質主義的で合理的な世界観から、非合理的、宇宙的、超越的な世界観への変化していく傾向へと変化します。若い頃には、地位や名誉、金銭等へのこだわり等、我欲が強く出る傾向がありますが、年齢を重ねるうちにそれが減り、他者を重んじるような意識に変わっていきます。そして、先祖との繋がりや未来の子孫との関係を意識したり、死の恐怖を超越し空間、時間を超越するようなスピリチュアリティ(精神性、霊性)も高まっていきます。
まとめ
40代から50代にかけて幸福度が下がってくる感覚は私自身も経験しました。これまでの身体や心の状態とその時期の状態は、今までとは違う感覚があり、気持ちが落ち込みやすくなったり疲れやすくなったりいった症状があらわれたりもしました。しかしこのグラフのように、この幸福度と年齢の関係は世界共通であるということがわかれば、気持ち的にも安心できるのではないでしょうか。年齢を重ねることは皆平等に訪れるもの。平均寿命が長くなった現代に生きる私たちならではの生き方や働き方を通して、自由で豊かな人生を目指していきましょう。