2024年6月11日、すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部の合同会議により「女性版骨太の方針2024(女性活躍・男女共同参画の重点方針2024)」が正式決定されました。この記事では、女性活躍・男女共同参画の推進に向けて重点的に取り組む事項を紹介していきます。
女性版骨太の方針2024
2024年6月11日、すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部の合同会議により「女性版骨太の方針2024(女性活躍・男女共同参画の重点方針2024)」が正式決定されました。女性版骨太の方針2024では次の4つを重点事項としています。
Ⅰ企業等における女性活躍の一層の推進
女性人材の採用、育成、登用の強化、経営層、管理職など女性登用を推進する人材の意識醸成が鍵となる
Ⅱ女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の一層の推進
全国各地の女性が経済的に自立するための力の育成とこれを支える人材の育成
Ⅲ 個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現
同参画の視点に立った防災、復興、配側者力や性犯罪、性界力の被害者等を支える人材の育成
Ⅳ女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化
あらゆる分野の政策、事業の計画等において男女別の影響やニーズの違いを踏まえることが必要
それでは1つ1つ見ていきましょう。
Ⅰ企業等における女性活躍の一層の推進
1つ目は「企業等における女性活躍の一層の推進」です。
女性人材の採用、育成、登用の強化、経営層、管理職などが女性登用を推進する人材の意識醸成が鍵となります。プライム市場上場企業における女性役員に係る目標を「2030年までに30%以上/2025年までに19%」「2025年までに女性役員ゼロ企業を0%」にすることを掲げ、取り組みが進んでいない企業に対する支援強化を必要としました。
(1) 企業における女性の採用・育成・登用の強化
◯女性役員登用目標の達成に向けた各企業の行動計画策定の推進、役員候補となる女性人材のパイプライン構築、女性登用の意義や必要性について企業の理解の浸透を図る
◯女性活躍や子育て支援の取り組みに積極的な企業等を支援する
(2) 科学技術・学術分野における女性活躍の推進
◯理工分野を目指す女子生徒等の育成を図る
◯プログラミングに関する教育の充実を図る
(3) 女性起業家の支援
◯女性起業家のためのネットワークを充実させ、課題を抱えた女性起業家を支援する。
⇨様々なスティックホルダーを巻き込みつつ、全国各地で女性起業家に対して一貫した支援を提供するネットワークを構築し、事業計画への助言や、支援者とのマッチングに向けた支援プログラムを実施する。
Ⅱ女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の一層の推進
⑴所得向上・リスキリングの推進
◯出産を機に多くの女性が非正規雇用化する「L字カーブ」の解消
⇨正規雇用の女性の就業継続を支援する
初職から非正規雇用で働く女性や、妊娠出産をきっかけに非正規雇用になった女性を正社員転換するための取り組みを進める
◯就労に直結するデジタルスキルの習得支援/ 就労支援を推進
◯男女間賃金差異の公表、分析を一層推進し、男女間賃金格差の大きい業界に着目した取り組みを進める
◯いわゆる「年収の壁」を意識せずに働くことを可能にする
⑵仕事と育児・介護の両立の支援
◯柔軟な働き方の推進、男性の育児休業取得の促進等、男女問わず育児・介護とキャリア形成との両立を図るとともに女性への育児負担の偏りを解消する。
⑶仕事と健康課題の両立の支援
◯働く女性の月経、妊娠・出産、更年期など、女性のライフステージごとの健康課題に起因する望まない離職等を防ぎ、女性の活躍を支援する。
⑷地域における女性活躍・男女共同参画の推進
◯地域の企業における女性活躍を推進し、その狙い手を育成する。
◯地方公共団体における取り組みの推進の鍵となる地域リーダーの意識醸成・育成を推進する。
◯各地域において人々の中にある固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)の解消
Ⅲ 個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現
男女共同参画の視点に立った防災・復興の推進、配偶者等からの暴力や性犯罪・性暴力への対策の強化、困難な問題を抱える女性への支援、生涯にわたる健康への支援に取り組みます。
(1) 男女共同参画の視点に立った防災・復興の推進
◯能登半島地震における災害対応を検証し、今後の対応に活用する。
◯防災の現場などにおける女性の参画拡大とこれを推進するリーダー層の意識醸成や防災教育を推進。
(2) 配偶者等からの暴力や性犯罪・性暴力への対策の強化
◯配偶者等からの暴力の防止、被害者の保護や支援、相談体制の整備や周知等の一層の強化を図る。
◯性暴力・性犯罪の根絶のための取組や被害者支援を強化する。
(3) 困難な問題を抱える女性への支援
◯困難な問題を抱える女性一人ひとりのニーズに応じて包括的な支援を実施。
(4) 生涯にわたる健康への支援
・女性の健康ナショナルセンター(仮称)の診療機能充実、同センターを中心とした女性の生涯にわたる健康課題に関わる研究等
Ⅳ 女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化
男女共同参画の視点に立った政府計画の策定等の推進、政治・行政分野における男女共同参画の推進に取り組みます。
(1) 男女共同参画の視点に立った政府計画の策定等の推進
・あらゆる分野の政策・事業の計画等について、男女別の影響やニーズの違いを踏まえた検討や立案を行う。
(2) 政治・行政分野における男女共同参画の推進
・女性が政治に参画する上での課題等について詳細な調査を行い、その結果に基づいた周知・啓発を行う。
・各府省における各役職段階に占める女性割合の数値目標を定め、取組内容や実施状況とともに公表する。
参考:内閣府ホームページ「女性活躍・男女共同参画の重点方針2024(女性版骨太の方針2024)」
まとめ
今年の「女性版骨太の方針」では、企業が女性特有の健康課題に取り組むことが求められています。企業はそれらの課題に関して具体的な支援策を導入することが求められるでしょう。更年期症状や婦人科系疾患などの女性特有の健康課題による社会全体の経済損失が約3・4兆円程度に上がると試算されていることも大きいためです。女性活躍に対する理解を深め、男女ともに活躍できる社会づくりを目指していきましょう。