実際の年齢に、自分の実感が追いついていかなくなってきたのは、いつの頃からだろう。ついこの前、幼稚園に通っていたと思っていた息子があっという間に高校生になり、私の身長を超え180センチに成長しました。
ミッドライフクライシスと自分探し
「ミッドライフクライシス」とは、40代~50代になったとき、これから先の自分の人生や、自分自身について、悩んだり、葛藤したり、不安を感じたりする時期のことを言います。
実際に約80%の人たちが、このミッドライフクライシスにより「自分とはなんだろう」というような「第二の思春期」をむかえるのだそうです。実際に私自身もこの1〜2年、まさに同じような悩みを抱えていました。ずっと先だと思っていた人生の後半が迫ってきたことを実感し「自分の人生はこれでいいのだろうか」「もっとやりたいと思っていたことがあったのではないか」「やり残していることがあるのではないか」というような気持ちが襲ってくるような感覚になったのです。
とにかく時間が過ぎるのが早く感じるだけでなく、体力や気力の変化も少しずつ感じてくるようになり、これから先の人生に漠然とした不安を感じるようになることも・・。それは、なんとも言えない絶望感だったり、憂鬱な気持ちだったり、エネルギーが出ない時期が続いたり、今までの自分が変わってしまうような気持ちになったこともありました。
「ユングのライフサイクル論」
ユングのライフサイクル論/(Staude.J.R.1981)(図:桜井香)
有名な心理学者ユングによる「ライフサイクル論」。これは、人間のライフサイクルを4段階にわけ、太陽の運行になぞらえながら、それぞれの段階の特質を説明したものです。自ら図を作ってみたのですが、この図は太陽の運行をなぞらえて作成されているため、誕生を日の出とし、死が日没となります。このライフサイクル論は人生80年を基本に作られているため、ちょうど40歳が真ん中になるのですが、現在は人生100年時代の到来で長寿社会になることを考えると、真ん中にあたる部分を50歳と考えることもできます。ユングはこの「中年の転換期」を最大の転換期であると考えました。
この先の人生に意識が向きやすい時期
実際にこの時期になると、仕事のこと、子どものこと、将来のことなど、様々な悩みが増えてくるものです。時間はどんどん過ぎていき子どももどんどん成長していく。お金の不安、将来の不安、数え上げればキリがないほど、この時期は多くの人が悩みや不安を抱えているもの。いつの間にか年齢を重ね、年号もどんどん変わる。毎日を過ごしながら、だんだんと人生の時間が有限だということを意識するようになる。子どもを生きがいにしていた女性は、この頃から空の巣症候群になってしまう人も多くなります。この時期のミッドライフクライシスは、40代から50代の人を中心に多くの人が経験します。
女性の場合は更年期などとも重なるため、身体面に変化や不調が起きやすくなります。子育てをしていた女性の場合は、子どもが巣立ったことにより心に中ポッカリ穴が開いたような「空の巣症候群」になる人も。今まで子育てを優先していた人生が、ガラリと変わり、いざ時間ができたとしてもどう使ったらよいのかが見えなくなって悩んでしまうということも多いためです。
全ては考え方次第
ユングのライフサイクル図を見ると、南中点から後半は陽が落ちていくように見えることから、意識が「人生をどう終えるか」という視点になりがちです。そうすると気分的に考え方がマイナスになったり、残りの人生をどう生きるかというプレッシャーに押しつぶされてしまいそうになったり焦りを生んでしまうこともありますが、それは考え方次第で変えることができます。
まとめ
以前と比べて平均寿命が伸びた今、「もう50代か・・」と考えることも「まだこれからできる!」と考えることもできます。今までできなかったことができる、時間ができた、自分を振り返りどんなふうに過ごしたいかを再確認してみる、新しいことに挑戦してみるなど・・可能性はまだまだあります。「もう遅いかも」と思うのではなく、「今からはじめる」ことで自分の可能性が拡がり、自信や生きがいに繋げていきましょう。